RSウィルス感染症について

RSウイルスは乳児期早期からヒトに感染します。生後1歳までに50~70%が感染し、2歳までにほぼ全員が初感染を受けるとされています。

RSウイルスの初感染の約70%は発熱、鼻水、咳などの上気道炎(風邪症状)の症状のみで数日で軽快するとされ、残り約30%は、数日後に喘鳴(ゼイゼイいう)症状、時に呼吸困難を呈し、そのうち約3%は重症化し入院が必要となるとされています。近年、RSウイルス感染と気管支喘息の発症との関連性が検討されています。

RSウイルス感染症は、例年10月頃から発生が増加し、翌年3月頃まで流行する傾向にあります。感染経路は飛沫感染(つばなど)と接触感染があり、手洗いを十分におこなうことが勧められます。また、ハイリスクをもって生まれた児(早産児や心疾患児など)はシナジスというRSウイルスに対する抗体の注射で感染予防をおこなっています。(予防接種ワクチンはありません)

特に乳児期早期に感染しますと入院を要する確率が高くなりますので、注意が必要です。

平成24年10月1日~12月10日の約2カ月間に当院を受診した患児でRSウイルス感染症と診断された例は以下のようになっています。

RS抗原検査をした児陽性児入院となった児
1か月未満2名1名1名
1か月児2名2名2名
2か月児10名4名2名
3か月児11名4名2名
4か月以上乳児37名18名3名
1歳代41名14名7名
2歳以上27名13名3名

平成24年10月1日~12月10日の約2か月間にRS抗原検査をした児130名中、RS抗原陽性例は56名、総合病院小児科へ紹介となった児は31名、入院となった(確認し得た)児は20名でした。
呼吸器症状がやや強い児に対しては積極的に検査していることと、他院から転医されてこられるケースがあるため、陽性率、入院数が多くなっていると考えられます。今後も、RSウイルス感染症が疑われる乳児~1,2歳児は必要あれば迅速検査をおこないます。

またRSウイルス感染症と診断されれば、不必要な抗菌薬の投与をすることはなく、また早期に診断することによって、家族内や施設の0歳、1歳児への感染対策を講じることができます。RSウイルス感染症は登園停止の対象疾患となっています。(保育所における感染症予防ガイドライン2012,厚生労働省)