難聴に注意!流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)

流行性耳下腺炎はムンプスウイルスに感染して発症するもので、小児期にはよくみかける疾患のひとつです。一般的には軽症の疾患とされていますが、合併症として髄膜炎、難聴、睾丸炎などがありますので軽視できない病気です。

感染と潜伏期

ウイルスは飛まつ感染(唾液など)により上気道に感染してゆきます。
感染から耳下腺腫脹までの潜伏期間は比較的長く、14日~21日、平均18日位といわれています。

症状

片側または両側の耳下腺部の腫脹と疼痛を認めて発症し、70~80%の児に中等度の発熱を認めます。
耳下腺の腫れは1~3日でピークに達し、その後ゆっくりと腫れはひいてきます。腫脹の期間は6~10日くらいが多いとされています。

合併症

髄膜炎はまれではなく、日常の診療で少なからず見かけますので、頭痛、発熱、嘔吐の三つの症状(髄膜炎を疑わせる三主徴といわれます)を認める場合は早めに医療機関に受診されるようにお話しています。
近年合併症として話題になっているものとして、ムンプス難聴があります。
幼少児に発症した場合は両親がきづかず、数年後にはじめて気がつくこともまれではありません。おたふくかぜにかかった後、テレビの音や声を聞こえにくいようにしている場合は(テレビのボリュームをあげたりする)医療機関に受診しましょう。

予防

合併症のムンプス難聴は治療に抵抗することが多いため予防手段としては事前のワクチン接種が重要となります。予防接種をした児は、合併症としての難聴の発生率がきわめて低いことがわかっています。
現在、おたふくかぜのワクチンは任意接種となっていますが、是非接種されることをおすすめします。(過去にMMRワクチンとして、おたふくかぜの予防接種が定期接種されていた時期がありますが、現在は定期接種にはなっていません。欧米諸外国では定期接種となっているのですが)