赤ちゃんの血便

あかちゃんの便に血液が混じっている場合、原因として以下のようなものがあげられます。

1 便の一部に少量の血液が混じっているとき

①便の端っこの方に少量の血液が混じって(付着した感じ)いる場合は便が勢い強く排出されるために肛門部の粘膜が傷つき出血したものとかんがえられます。
(ただし、この症状が長期間断続的に見られる場合は炎症をおこし、痔ろうを形成することがありますので、要注意です。女児では、外陰部から便や膿汁がでてきてしまう前庭膣ろうという病気がまれにみられます。)

②便が下痢で、全体的に少量の血液が混じっているときは、食当たり(細菌性大腸炎)が疑われます。
小児の細菌性大腸炎ではキャンピロバクターやサルモネラが原因となっていることが多く、とくにキャンピロバクターは鶏肉のなま焼き、生煮えで病原性を発揮します。
過去において、5か月のあかちゃんのサルモネラによる大腸炎を経験しています。
離乳食がはじまったばかりのあかちゃんも食当たりには要注意です。

2 便の一部または全体に中等量~大量の血液が混じっているとき

①やはり第一に腸重積がかんがえられます。臨床症状は、突然嘔吐がみられ、初期はミルクもある程度飲めますが、嘔吐を繰り返してだんだん不機嫌となり、血便がみられるようになります。(浣腸で血便が確認されることもあります)
とくに感染性胃腸炎(胃腸かぜ)が流行しているときは、嘔吐と下痢をしているあかちゃんのなかに、腸重積の児が紛れ込んでいることがありますので、注意しています。(胃腸かぜの原因ウイルスであるアデノウイルス、ロタウイルスなどが腸重積をひき起こしていることがあります)

②いまではまれな病気になっていますが、吐血(吐いたものに血液が混じる)や大量の血便がみられるものにビタミンK欠乏性出血症という病気があります。
あたまの中にも出血し、けいれんで発見されることもあります。
現在は生まれたあかちゃんはビタミンKシロップを産科で飲んでいますので、この病気は少なくなっています。