伝染性紅斑(りんご病)

りんご病の正式な病名は“伝染性紅斑”といい、赤い発疹が顔や手足に出現する病気です。原因はヒトパルボウイルスというウイルスの感染によって発症します。発疹の出方は特徴的で発疹の出現時期を以下の3つの時期に分けています。

発疹の第1期:まず顔面に赤い発疹が出現します。これはたいへん特徴的で、平手打ちをされたように左右のほほが赤くなります。

発疹の第2期:顔面に1~2日遅れて発疹が手足や体に広がります。手足の発疹は、からだに近いところから、つまり腕から前腕、大腿から下腿に拡がっていきます。時に足首、足背にでることもあります。赤い発疹が連環状に連なりレースの模様のようにもみえます。私たちが調査した例では、からだ(躯幹)に発疹が出現した例は約50%でした。この発疹は約5~7日間で消退します。

私が勤務医時代に岐阜県衛生部保健予防課、岐阜県教育委員会の協力で調査した時には、微熱13%,倦怠感23.9%,頭痛4.5%,咽頭痛4.5%,食欲不振14.9%にみられました。

発疹の第3期:一旦消えた発疹がストレスや日光などの刺激により、再発することがよくあります。これを第3期としています。長い場合は2週間、最も長くて2カ月間続くこともあります。

りんご病という名前の由来は、かおの赤い紅班が“りんごのほっぺのように”見えることからりんご病とよばれるようになったようです。

りんご病の好発時期は一般的には秋から春先までが多く、ことに冬に多い傾向があります。これは、冬は寒いために室内にいることが多く、室内での接触機会が増加するためと考えられますが、夏にみられることもあります。

ほとんどの症例は症状が軽いので良好な疾患と考えられますが、一部に合併症として関節炎、皮下出血班、貧血、脳炎などがあります。また妊婦さんが感染すると胎児水腫や早産、流産の原因となることがありますので注意が必要です。

学校などの登園登校停止については、発疹がでている1週間くらいを登校停止としていた時期がありましたが、現在は発疹の症状がでたときにはすでにウイルスの排泄はなく、他のひとへの感染力はないことがわかっています。したがって発疹がでていて、微熱がある場合は安静にさせますが、熱もなく、元気であれば登校登園してもよいと考えられます。

(本文の一部は医学雑誌「小児科」編集局からの執筆依頼による論文から抜粋)