病気の児(幼児~学童)にヨーグルトや牛乳を飲ませたら、吐いてしまったことを経験されたかたは多いと思います。
病気の児が乳製品や脂肪の多いものを摂取するとなぜ吐いてしまうのでしょうか。
正常の状態のヒトは、ブドウ糖を分解してそこからエネルギーを産生している(得ている)ことは中学の理科で習いました。ブドウ糖が分解されると、水と二酸化炭素ができますが、これらはヒトのからだには直接害を及ぼすことはありません。
ところが病気の小児では糖の分解より、脂肪を分解してエネルギーを産生する方が優勢となります。
このばあい、糖の分解と違って分解産物としてケトン体という有害物質が産生されます。
このケトン体が増加すると血液が酸性化の方向に傾き、ケトアシドーシス(代謝性アシドーシス)となり、嘔吐しやすい状態になります。(頻回に嘔吐する病態をアセトン血性嘔吐症とよびます)
このように血液中のケトン体が増加しているときは、脂肪分を摂るとさらに有害なケトン体が増加し、代謝性アシドーシスが増強する(血液が酸性にかたむく)ため、からだはそれ以上脂肪分を摂取ことを拒んでいるのです。
以上の理由で、病気の児に乳製品などの脂肪分をあたえると吐いてしまうわけです。
ヨーグルトは見た目はとろっとしていて消化がよさそうに見えますが、たくさんたべると吐いてしまいます。(薬を飲むときに、少量であれば、薬をヨーグルトや牛乳にまぜてのませるのは可能です)
まだまだ胃腸かぜの発生がみられます。病気の児に乳製品や脂肪分の多いものを摂取することはひかえて、アルカリイオン飲料やゼリーなどのあまいものを少量づつ摂らせてください。