マイコプラズマ肺炎は小児科領域ではまれな病気ではなく日常の外来診療でよくみかけるものです。マイコプラズマ肺炎はレントゲン検査で明瞭な異常陰影が認められるにもかかわらず、臨床症状は軽く、しかも聴診所見など理学的所見が乏しいことが多いという特徴があり、通常の肺炎とタイプが異なることから異型肺炎とよばれることもあります。
マイコプラズマ肺炎は咳と発熱で始まり、熱が下がった後も頑固な咳が長く続きますが、その割には元気が良いことが多く、またその経過中に一時的に喘息様の症状(朝晩の咳と喘鳴など)がでることもあります。
そのため喘息の小児の場合、いつもの喘息が長引いているものと考えられる例の中には実はマイコプラズマ肺炎だったということが少なからずありますので、注意が必要です。
診断はレントゲン検査でマイコプラズマ肺炎に特徴的なすりガラス状の均等な陰影を認めることや血液検査などから容易に診断できます。
治療は一般の抗生物質は効きませんので(マイコプラズマは他の細菌と異なり細胞壁がないことが特徴です。一般の抗生物質は細菌の細胞壁にはたらいて細胞に必要な代謝を阻害して細胞を死滅させますが、マイコプラズマは細胞壁を持たないため一般の抗生物質は効きません)マクロライド系などの抗生物質を投与します。
ただし、最近はマクロライド系に耐性を持つものもでてきていますので注意が必要です。
その他の注意点:頻度は少ないですが胸膜炎などを合併することがありますので自覚症状が少なくても軽視しないこと。またレントゲン写真の肺炎所見が軽快するまでは無理は禁物です。